マッスルラーメン=「ダブルたんぱく」 時代の先端をラーメンで表現したい

2019年3月、SORANOIRO本店はグランドメニューをフルリニューアル。醤油ラーメン、ヴィーガンラーメンなど6種のメニューを提案しました。そこにラインナップしたのが「マッスルラーメン」。これは他にはない、独自のアプローチで生まれた一杯です。
このメニューを開発したのは、ちょっとしたきっかけからでした。僕の周囲から上がってきた声から生まれた気づきがあったんです。
まず、Facebookのタイムラインを見ていると、僕とつながっている筋トレ好きの人たちがトレーニング後に必ずサラダチキンを食べている。筋肉をつけるために節制しながら、でも「ラーメン食いてえ! 二郎が食べてえ」といった本音も吐露しているわけです(笑)。
そしてもう一つ、IT系企業を経営者している知人から「トレーニングしながら、たんぱく質がとれるラーメンってないですかね?」とたずねられたこともありました。
この2つのエピソードを合わせ、アスリートや皇居ランナー(麹町だけにランナーが多い!)に向けたラーメンを考え、開発したのが「マッスルラーメン」なんです。
こちらのメニューは「1杯で80gのたんぱく質が摂取できる」というのがコンセプト。麺にはプロテインを練り込み、具材は鶏むね肉のチャーシューと味付け玉子。たんぱく質たっぷりです。おからパウダーを使用したスープはオイルをまったく使っていません。もちろん、強化した栄養はたんぱく質だけじゃない。野菜系具材の豆苗、トマト、ブロッコリーでビタミン、ミネラルをたっぷり補給。スーパー大麦で食物繊維を補うこともできます。栄養の観点からしても、すごくバランスの良いラーメンに仕上がっているんですよ。
さて、こうして3月から売り出したマッスルラーメンですが、当初はそれほど出なかった。半年ぐらいは1日5~10杯ぐらいだったかな。ところが、10月を過ぎると徐々に注目が集まり、杯数も出るようになりました。11月以降は1日15~20杯ぐらいは出ますね。
たんぱく質――従来はマッチョな男性がプロテインを飲んだり、それこそサラダチキンをかじったりというイメージが強かったんですが、最近は「ダブルたんぱく」として動物性たんぱく質、植物性たんぱく質を同時に摂取するのがトレンドになっています。
日経新聞(2019年11月17日夕刊)のトレンドコーナーでマッスルラーメンが取り上げられましたが、それはまさに「ダブルたんぱく」のムーブメントを紹介したもの。筋肉をつけるためだけであHなく、美と健康を追求する女性に注目され、「ダブルたんぱく」市場は急成長を遂げているんです。
なぜ「ダブルたんぱく」が注目されているのか?
それは、動物性たんぱく質が筋肉を作り、植物性たんぱく質が筋肉の劣化を抑える。そんなバランスの良い摂取が健康、美容につながると注目を集めているんです。
僕はこの「ダブルたんぱく」ムーブメントを意識したわけではないですが、結果として「マッスルラーメン」はピタリとハマりました。鶏むね肉のチャーシュー、プロテイン練り込み麺、味付け玉子で動物性たんぱく質が摂れるし、スープのおからパウダー、豆乳で植物性たんぱく質もカバー。さらに、豆類も加えて植物性たんぱく質を補強しようとも考えています。
筋トレやランニングがブームになっているように、筋肉と関係の深いたんぱく質が注目を集めていますが、僕は「健康でおいしい」というアプローチで、これからもメニューを開発していきたいと思っています。そう、これは「ギルトフリー」というトレンドワードにもつながりますね。
ギルトフリー……罪悪感を覚えずに食の欲求を満たせること。女性だと「ラーメンって油っこくって一杯を食べるのが難しい。週1回も食べられない」という方もいますよね。かつて、ラーメンにはそんなイメージが強かったのかもしれませんが、SORANOIROのメニューでは、そんなことは言わせたくないですね。
「麺抜き」のオーダーもありますし、玄米麺も選択できます。マッスルラーメンの「ダブルたんぱく」もそうですが、「ヴィーガン」「グルテンフリー」といったヘルシーなキーワードをメニューに取り入れてきた。それがSORANOIROだと自負しています。
だけど、あくまで「健康においしく」ラーメンを食べていただきたい。「健康」に寄りすぎておいしさがないがしろにしては意味がないと僕は考えています。だって、おいしくなければ食べ続けることはできないですから。コレクター的に1杯を食べて終わりではなく、継続的に食べていただいてこそ意味がある。
食は体やメンタルを作るもの。毎日欠かせないものだから、食べることってすごく大事です。そんな「食」の現場で、健康に、そしておいしいメニューを提供できる。これがラーメン屋の面白さではないでしょうか。
まだ、99%近くの人が麺=小麦という固定観念があるようです。だけど、玄米麺や米粉麺、プロテイン練り込み麺、こんにゃく麺など、麺は小麦だけで成立するものじゃない。「麺なし」というかたちも全然ありですからね。
食べ手もそうですが、作り手も固定観念にとらわれなければ、もっともっとラーメンの幅は広がっていく。可能性は広がっていきます。
「こんなのラーメンじゃないよ」なんて、SORANOIROを創業してから何度言われたことでしょう(笑)。僕はそれで結構、これからも既存のラーメンの枠から外れて、自由に、そして時代の最先端をいくラーメンを作っていければと思います。

—–

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

前の記事

後悔しないこと